家づくりコラム

家づくりは楽しい反面、常に予算とのシビアな戦いでもあります。
希望を叶えるにはお金。お金。お金。
予算とのにらめっこに疲れたとき、ふと「宝くじ当たらないかな~」「土地くれる人いないかな~」なんて現実逃避をすることもあるのでは?

今回はそんな『もしもの話』です!

地主に気に入られてタダで土地をもらえることになったら!?

ひょんなことからあなたは地主と知り合いになりました。
あなたのことをとても気に入っている地主に、あなたがふと漏らします。
あなた「いま家欲しくっていろいろ考えとるんやけど、ぜんぜんいい土地が見つからんのやよね~」

地主「ぼくの持ち物で、金沢駅近くに使ってない土地があるんだ。それをあげるよ!そこに家を建てなよ!」

なんと気前の良い地主は土地をくれると言うのです!

あなたとしては願ったり叶ったりの状況です。

あなた「本当け~!ありがとう!」

こうしてあなたはタダで土地を手に入れることができました。



もらった土地に家を建ててめでたしめでたし♪

・・・になるでしょうか。

続きを見てみましょう。


これから開催されるイベント


司法書士さんから衝撃の事実が明かされる!

今回の土地取引のケースは「個人から個人への無償譲渡」というかたちになります。
”タダで土地をゆずるよ”という内容の契約書も交わし、無事に土地をゲットできることになったあなた。

土地の権利を移す打合せをするため、司法書士さんのところに来ました。



司法書士さん「それにしても地主さん太っ腹ですね。土地をタダでくれるなんて」

あなた「本当にありがたいですよ!あんないい場所、普通なら絶対買えないし・・・めちゃくちゃ得しちゃいました」

司法書士さん「えっ!?得だと思っているんですか?」

あなた「えっ!?タダなんですよ?あとは家だけなんだし得じゃないですか」

司法書士さん「とんでもない!これからあなたには税金がかかってくるんですよ!?」

あなた「税金!?なにそれ!?どういうこと??」


「贈与税」を払おう!


司法書士さん「一番大きいのは贈与税ですね。他人からモノやお金をもらったら贈与税がかかるんですよ」

あなた「なんですか贈与税って?」



贈与税とは、資産をもらったときに貰った側が払わなければいけない税金です。

司法書士さん「この土地には5000万円の価値があります。よって贈与税は・・・」

(5000万円-110万円)×55%-400万円=2289.5万円

司法書士さん「2289.5万円、税金として納める必要がありますね」

あなた「にせんまんっ!??」

これはなかなか衝撃の展開ですね。




あなた「いやまてよ、タダでもらったから贈与税がかかるんだよね。じゃあ100万円で買ったってことにすれば贈与税を払わなくてよくなるのでは?」

そう考えたあなた。確かに100万円で「買った」ことになり、「贈与」にはあたらなそうですが・・・

司法書士さん「そんな甘いわけないじゃないですか!」
司法書士さん「5000万円の土地を100万円で買ったなら、その差額分4900万円を贈与されたとみなされるんですよ」

(4900万円-110万円)×55%-400万円=2234.5万円

司法書士さん「2234.5万円を納めてくださいね」

あなた「うわ~!購入費100万円と合わせたらタダでもらう時よりお金かかるじゃん!」



あなた「贈与税はわかりました。でもさっき『一番大きいのは』って・・・もしかしてまだ他にもあるんですか?」

司法書士さん
「察しがいいですね。まだ他にも税金があるんですよ」


登録免許税を払おう!


司法書士さん「土地の権利を移すときに登録免許税がかかります」

あなた「権利を移すときって、まさに今じゃないですか」

登録免許税は、土地の名義を変える際に発生する税金です。

司法書士さん「権利移転の理由によって税率がちがいまして、贈与なら税率は2%です」

5000万円×2% =100万円

司法書士さん「権利移転のタイミング、つまりすぐに100万円かかります」



不動産取得税を払おう!


司法書士さん「次は不動産取得税です」

不動産取得税は、土地や建物を手に入れた人が納める税金です。

司法書士さん「土地の価格は5000万円ですね。宅地ですので・・・」

(5000万円×1/2)× 3% = 75万円

司法書士さん「75万円ですね」

あなた「他の税金に比べたら良心的に感じるから不思議だな」



司法書士さん「これからご自宅を建てるんですよね?建物のご計画はまだですか?」

あなた「え、ハイ。これから住宅会社を探そうかと・・・」

司法書士さん「不動産取得税には軽減措置があります。ご自宅を新築するなら受けられますので、忘れずに申告してくださいね」

あなた「後でいくらか戻ってくるのか。それにしても先に払うのきついし申告もなかなか面倒だなぁ」



あなた「・・・なんかもう土地をもらうのやめたくなってきました」

司法書士さん「そうですよね。でもここまできたら最後まで聞いてください」

毎年かかる固定資産税



あなた「まとめると・・・贈与税で2289.5万円、登録免許税で100万円、不動産取得税で75万円。これだけ払えれば土地をもらっても大丈夫ってことですか?」

司法書士さん「税金は取得したときだけじゃないですよ。これから毎年固定資産税がかかるんですよ」

固定資産税は土地や家屋をもっているとかかってくる税金です。
税率は土地の価格に対して1.4%です。

5000万円 × 1.4% = 70万円

あなた「毎年70万円払わなきゃいけないのか~」

司法書士さん「家を建てれば軽減措置がありますので1/3か1/6になりますよ」

あなた「それでも10万円以上かかるし、家を建てたら家の固定資産税もあるんですよね」
あなた「土地もらうのやめときます。身の丈にあった土地を自分で探します」


税金は馬鹿にならない


「タダより高いものはない」と言いますが、まさにその言葉通りになりましたね。
家づくりにまつわる税金は、おまけ程度に考えていると痛い目をみるかもしれません。土地や建物の価格など目先の金額だけにとらわれず、トータルで試算してみることが必要ですね。
この物語がお役に立てば幸いです。


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※このお話で出てくる「土地の価値5000万円」は「土地の売買価格」とは違います。
またわかりやすくするため土地の価値を5000万円で統一していますが、実際は税金の種類によって土地の価値が変わります。
税率は令和3年4月現在のものです。


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